投稿日:2023-02-15
<2022年度分の確定申告の実施で感じたこと>
2022年度分の確定申告を実施した。毎年、確定申告の作業で感じることがあるが、今年の確定申告の作業で感じたことは、2つある。1つは源泉分離課税と総合課税の違いである。もう1つは、マイナポイントとの連携の問題点である。この記事では、その2点について述べる。
<確定申告:源泉分離課税と総合課税の違い>
2020年度分の確定申告までは源泉分離課税で申告していたが、2021年度分の確定申告からは源泉分離課税にするか、総合課税にするかを選ぶようにした。これは税制上の仕組みの理解が不十分だったことと、2021年度分の確定申告からは総合課税の方が還付額が増える可能性があることを知ったためである。当然ながら、その年度にどのくらいの額を源泉徴収されていたかによるが、2022年度分の私の還付額は、以下の通り。
①源泉分離課税を選んだ場合の還付額:約35000円
②総合課税を選んだ場合の還付額:約310000円
源泉分離課税を選ぶか総合課税を選ぶかの違いだけで、約275000円もの還付額が違う。eTaxで申告する場合、この源泉分離課税を選ぶか総合課税を選ぶかの選択は極めて簡単なので、これを試さないと大損する恐れがある。株や投資信託をやっていて、「源泉徴収あり」を選んでいる場合は、是非試してみて欲しい。
<マイナポータルとの連携の問題点>
eTaxで確定申告しようとすると、マイナポータルと各種サービスとの連携を行うと便利になるような説明がある。例えば、利用している健康保険組合と連携すれば医療費支払い情報が自動的に取得できたり、利用している証券会社と連携すれば株や投資信託での年間取引情報などを自動的に取得できたりするのではないかと考えた。ところがどっこい、そのような世界はかなり遠い未来にしかやって来なさそうな感じである。
(1)健康保険組合との連携
マイナポータルと連携することにより可能になることは、健康保険組合HPで参照できる医療費支払い情報が、マイナポータルからも参照できるようになるだけ。さらに、その情報を利用しようとすると、実際の支払い額とは異なる可能性があるので、違いがあれば領収書の数値が正しいので修正しろとの注意書きがある。さらに、1月末時点で得られるのは、去年の11月分までという。健康保険組合に確認すると、どちらもその通りだという。数値が異なるのは医療費総額から被保険者負担分をパーセントで計算しているため、基本的な仕組みからして、実際の支払い額と異なるという。確定申告に間に合わない月の分は、手作業で入力して欲しいとのこと。まったく、何という酷いシステムだろう。これならば、自分でGoogleシートなどに入力して、集計したほうがずっと簡単だし信用できる。
(2)証券会社との連携
こちらも株や投資信託での年間取引情報などを自動的に取得できたりするのではなく、証券会社HPでも参照できる情報が、マイナポータルからも参照できるようになるだけ(注1)。こんな機能ならば、自分で証券会社HPから年間取引情報ファイルを取得して、eTaxでそのファイルを指定すれば済む。
(注1)
2022年度分の年間取引情報ファイルについては、証券会社から取得する設定を行っていないので、もし年間取引情報ファイルを取得するようにしていれば、eTaxで確定申告するときに、年間取引情報ファイルが選択できるのかも知れない。
<感想>
(1)源泉分離課税と総合課税の違いについて
該当しそうな人は、払い過ぎ税金を取り戻すために、是非試して欲しい。
(2)マイナポータルとの連携の問題点について
①マイナポータルでは、マイナポータルとの連携の利点を主張しているが、実際に何がどう便利になるのかを具体的に説明して欲しい。曖昧に便利さを誇張するのは、誇大広告または虚偽広告に近い。
②マイナポータルと連携することになる証券会社や保険組合などは、問合せした感じでは基本的にマイナポータルは国が独自にやっていることなので、詳しいことは分からないという態度で、実際に利用者にどのような利点があるのかを把握できていないし、実際に試してもいないようだ。確かに、マイナポータルが主導して行っている事業だと思うが、その事業実施の担い手である証券会社や保険組合などもキチンと理解&検証して欲しい。
③ふるさと納税に関しては、楽天ふるさと納税などでXMLファイルを自動的に取り込むような機能がサポートされている記事やユーチューブを見たが、これもすべてのふるさと納税サイトが対応しているかどうか分からない。これも明確にして欲しい。
(3)今年のeTaxからパスワードの入力回数が減った。良い。しかし、逆にいうと以前のパスワード入力回数が多いというのは、人間工学的に酷いシステムだったということ。当初から無駄な操作を強いるようなシステムにしないよう工夫して欲しい。しかも、パスワード入力を何回か間違えると役場に行って、解除して貰わなければならないという恐ろしい規則まで設けている。
<追伸>
eTaxで確定申告したのは2023-01-26である。指定した銀行口座に申告通りの金額が、2023-02-15に振込まれた。