投稿日:2024-11-28
<「マイナ保険証一本化で発生していると思われる」誤った情報の拡大>
最近、マイナカード発行とマイナ保険証登録が急増しているそうだ。2024-12-02に現行の保険証の新規発行が終了となる。このことは事実だが、政府の巧妙な広報によって、以下のように誤って解釈してしまっている人が多く発生しているように見える。
①2024-12-02以降は、現行の保険証が使えなくなる。
②資格確認書という現行の保険証とほとんど同じ機能を持つものを知らないため、マイナ保険証がない人は将来保険治療が受けられなくなる。
③「資格情報のお知らせ」というものが自宅に送られてきたが、その目的が理解できない。
何故、このような誤解が増えているのだろうか?それは、「詐欺的とも言える巧妙な政府の広報」によると考える。政府の広報を注意深く読んだ人のみが正しく理解できて、そうでない人を上記のような間違った解釈に誘導しているように感じる。
<マイナ保険証一本化で知っておくべきこと>
1.マイナ保険証一本化になってもできることや注意点
2024-12-02に現行の保険証の新規発行が終了するが、以下が可能である。
(1)現行の保険証は、その有効期限または2025-12-01のいずれかのうち、早く来る日まで利用できる。
(2)現行の保険証を続けたい人は、マイナ保険証にする必要はない。マイナカードを発行していない人やマイナ保険証登録をしていない人には、現行の保険証とほとんど同じ機能を持つ資格確認書が送られてくる。
(3)マイナ保険証にしている人には、資格確認書は送られてこない。資格確認書を送って貰うには、マイナ保険証の登録解除申請が必要になる。申請して実際に解除されるのは、申請した翌月末頃になる。
(4)「資格情報のお知らせ」を持っていかないで、マイナカードのみで受診すると、最悪の場合は一旦10割負担になる恐れがある。さらに最悪の場合には、受診を諦めて一旦家に帰ることになってしまい、取り返しがつかない事態になる恐れもある。実際、そのような事例があった。つまり、「マイナカード+資格情報のお知らせ」で、「今までの保険証」と同等の機能になる。ということで、受診時には「マイナカードと資格情報のお知らせ」持参が必要になる。ただし、マイナポータルで表示できる資格情報をスマホにダウンロードしておけば、それを見せることにより、「資格情報のお知らせ」の代わりになる。
(5)マイナカード取得やマイナ保険証登録は個人の自由なので、マイナ保険証を持たない人がいる。マイナ保険証を持たない人でも保険料は支払っている。そういう人も診療を受けるときに今までの保険証に相当するものが必要になる。今までの保険証を強引に廃止することになったので、今までの保険証とほとんど同じ機能である「資格確認書」を発行せざるを得なくなった。
(6)マイナカードやマイナ保険証には、有効期限がある。期限が切れたら、まったく利用できなくなる。
2.マイナ保険証に関して政府が行っている広報について
(1)高額医療費制度について
【政府が行っている広報】
手続きなしで高額療養費の限度額を超える支払いが免除される
【コメント】
政府が行っている広報に誤りはないが、今までの保険証でもできる。
(2)お薬手帳について
【政府が行っている広報】
過去に処方されたお薬や特定健診などの情報を医師・薬剤師にスムーズに共有することができます。
【コメント】
「過去に処方されたお薬や特定健診」については、1ヶ月以上前のものしか見れない。なので、マイナ保険証を使ってもお薬手帳の持参が必要になる。
(3)カードリーダーや顔認証について
【政府が行っている広報】
CMなどで極めて簡単であることをアピールしている。
【コメント】
カードリーダーや顔認証で、エラーが発生することがある。
(4)氏名等の「●(黒丸)」表示について
【政府が行っている広報】
[質問]
「健康保険証」にて健康保険証情報を取得すると氏名等に「●(黒丸)」が表示されている。なぜですか。
[回答]
保険者が登録している氏名に使われている漢字が外字等の標準利用不可の文字のため、「●」に変換して表示しております。「●」を回避したい場合は、標準文字に変更する等を保険者にご相談ください。
【コメント】
今までの保険証では発生しなかった●問題は、マイナ保険証にしたために発生している。「●が気に入らないならば、利用者や保険者で修正しろ」という言語道断なシステムを強いる制度に言葉を失う。
(5)セキュリティ対策
【政府が行っている広報】
マイナンバーカードの安全性のポイント
① 落としても他人が使うことができない
・ 顔写真入りのため対面での悪用は困難。
・ オンラインで使用するためには本人しか知らない暗証番号が必要。
・ 不正に情報を読み出そうとするとICチップが壊れる仕組み。
② 大切な個人情報は入っていない
・ プライバシー性の高い情報はマイナンバーカードのICチップに入っていない。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000691744.pdf
【コメント】
①氏名、生年月日、顔写真、性別、住所という極めて重要かつ個人の情報が含まれている。
②ICチップそのもののセキュリティは高いが、何らかの方法で暗証番号を知れば、「利用している薬や病歴などを含むすべての個人情報にアクセスできてしまう」だけでなく、「スマホ乗っ取りなどによる不正高額利用などもできてしまう」。暗証番号は4桁の数字で、セキュリティ的には極めて脆弱である。
3.マイナ保険証が利用できる条件
当初、政府はマイナ保険証のみでほとんどの国民が診療が受けられると考えていたようだが、その目論見は見事に外れた。どのように見事かは、以下の通り。以下の条件をすべて満たしたときのみ、マイナ保険証が利用できる。
①医療機関が、マイナ保険証に対応している。
②患者がマイナカードを取得し、マイナ保険証登録している。
③患者が持っているマイナカードが有効期限内である。
④患者が登録しているマイナ保険証が有効期限内である。
⑤医療機関に設置しているカードリーダーが稼働している。
⑥停電していない。
⑦医療機関が導入している通信設備及び、マイナンバーシステムがサーバーを含めて正常に動作している。
⑧医療機関に設置している顔認証システムが、正しく顔を認識できる。または、患者が暗証番号を正しく入力できる。
⑨患者が医療情報確認作業を、正しく操作できる。
⑩患者がマイナ保険証の登録解除をしていない。
⑪受診時、マイナカードを忘れずに持って行く。そして、マイナカードを紛失しない。
<結論>
現行の保険証を廃止してマイナ保険証に一本化するのは、根本的な誤りである。